メンソレータムは、クリスチャンによって広められた。
明治38年、ウィリアム・メレル・ヴォーリズというアメリカ人が、英語教師として、滋賀県近江八幡に赴任した。
彼は、教師としてだけでなく、キリスト教を布教させることも目標としていたが、学校をクビとなってしまったため、生計を立てるために事業をおこすことにした(近江兄弟社)。
アリゾナ州・メンソレータム社の社長が熱心なクリスチャンであったため、ヴォーリズを支援し、大正9年に、メンソレータムの輸入販売が開始された。
当初は売れなかったが、薬局にはクリスチャンが多く、全国の教会を通じて販路を確保できたため、次第に売れるようになり、やがて国産となった。
メンソレータムは万能薬ということで、戦前には、オブラートで包んで胃薬として飲まれていたり、ポマード代わりに使われていた。
メンソレータムの箱の表には、看護婦の格好をした少女が描かれているが、1930年代の人気子役シャーリー・テンプルがモデルとなっている。
ちなみに、不二家の「フランスキャラメル」の意匠デザインとして描かれている女の子もシャーリー・テンプルである。
昭和49年、メンソレータムの商標権は、ロート製薬に移っている。
当初は、商標権契約のみだったが、のちに米国メンソレータム社は、ロート製薬に買収されることとなった。
そして現在、近江兄弟社は、メンソレータムとほぼ同等の商品として「メンターム」を販売している。
ちなみに近江兄弟社という社名は、近江(地名)と「人類みな兄弟」から来ている。