EXPO'70狂騒曲 その4 ついに開催された万博(続きの続き)
売店で働いていた人の一日。
店長は、終日勤務。
05:30 宿舎で起床
06:30 出発(早番)
07:00 万博会場到着(すでに改札には列ができていた)
11:00 遅番到着
12:00 休憩(1時間)
17:00 早番終了
22:00 遅番終了
23:00 万博会場出発
02:00 消灯
その人の談話。
「7~9月の入場者数はすさまじいものがあり、勤務時間中はほとんどひっきりなしに客がいた。コーラやファンタなどは冷やす時間もなく、よくなま温かいまま販売し、文句を言われた。しかし市価より高かった」
「私の店で使用していた清涼飲料水のクーラーケースが、ある日なくなった。探しに行くと、一目でその筋の人と分かる人たちが、そのクーラーケースにジュースなどを入れて、露店で商売をしていた」
「バスの中まで帽子を売りつけに来て、注意をしたバスの運転手が殴られたとの話を聞いたことがある」
単価50~200円の店なのに、1日の売り上げが100万円を超えていた。
その人は、改札口の横の店で働いていたので、道案内の質問をよくされていた。
以下、その質問。
「私の宿舎はどこでしょう?」
「浜名湖はどこですか?」
「出口はどこですか?」(いま改札口から出てきたのは誰ですか?)
「○○農協の集合場所は?」
当時の修学旅行生(中学3年生)
おこずかい3000円。
お菓子700円以内。
会期中に、よど号ハイジャック事件が起きた。
そのため、初めて号外を見る人もいた。
水洗便所を、初めて使用する人が多かった。
尻をふいた新聞紙などを流す人が多かったので、よく詰まっていた。
みんな、様々な種類の「初めての経験」をしていた。
初めてのボウリング。
初めての蒸し風呂(サウナ)。
初めての白タク。
初めてのマンション民泊。
初めての洋式レストラン。
初めての外米。
初めてのレタス。
初めてのホワイトアスパラガスの缶詰。
初めてのパインスティック。
初めてのコーヒー。
初めてのキリンレモン。
初めて父の愛人らしき女性に出会った。
万博会場の近くで駐車場を経営している人は、警察官の制服を着ていた。
車を誘導して、自分の駐車場に駐めさせるため。
万博会場の換気扇を持って帰った学生がいる。
高校の部室に取りつけて、タバコを吸うときの換気用として使用した。
巨人の選手も万博にやってきた。
電気自動車に乗って移動していたため、観客に追いかけられた。
家族を引き連れて万博会場を訪れた父親もいた。
父親だけが迷子になった。
万博会場へ入るにも入場制限があった。
待ち時間は2~3時間。
この頃に生まれた子供の名前には「博子」や「博」が多い。
万博へ部下を招待した上司がいる。
部下たちは先に会場へ入り、上司の名前をかたってパビリオンへ優先的に入っていった。
ガイドブックを読みすぎて、万博開園前に、すでにボロボロになっている人がいた。
来年見に行こうと思い、万博開催時に見に行かなかった子供がいる。
いつでも開催していると思ったため。
その後、本人はものすごく後悔している。
平日に万博を訪れる子供も多かった。
「万博ズル休み」は、なかば公認だった。