「世界一臭い食べ物」と呼ばれているシュールストレミング(ニシンの缶詰)は、ガス圧により爆発する恐れがあるため、空輸禁止措置が取られている。
シュールストレミングは世界一臭い食べ物とされているが、どれくらい臭いかというと、
- 127 著者の靴下(脱いだ直後)
- 222 ブルーチーズ
- 245 パパイヤ
- 247 野球部員の汚れたストッキング(脱いだ直後)
- 280 納豆
- 307 おろしニンニク
- 326 沢庵漬
- 620 くさや(生)
- 766 鮒鮓(ふなずし)の熟鮮(なれずし)
- 1960 くさや(焼いた時)
- 8670 シュールストレミング(開缶直後)
(数値はアラバスター単位)
となっている。
通常、缶詰を製造する場合は、内容物を入れて、蓋をしてから加熱殺菌を行うが、シュールストレミングは加熱殺菌を行わない。
すると、缶詰の中に閉じ込められてしまった発酵微生物は、缶詰の中という、空気のほとんどない環境(嫌気的環境)にさらされることで、通常とは異なる発酵代謝を行うこととなり、悪臭のもとである、プロピオン酸、吉草酸、酪酸、カプロン酸などをどんどんと生み出していき、さらに魚由来の悪臭である、アンモニア、揮発性アミン、硫化水素、メルカプタン類などが加わることで、気絶してしまいそうなくらいの大悪臭が完成する。
缶詰は、中のガスに押され、丸く膨満した形に変形しているが、缶切りを差し込んだ瞬間、強烈な臭気を含んだガスが汁とともに噴出し、汁が周囲に散乱するため、開缶した者は悪臭まみれという大惨事に見舞われる。
シュールストレミングは、本場スウェーデンでも高価である。
発酵中のガスで容器が破裂したり、変形したり、うまく発酵が行われないなど、失敗作が多くできてしまうため、成功作に失敗分の値段が上乗せされるためである。
シュールストレミングをつくっている会社はスウェーデンにはたくさんあるが、どの缶にも「開缶時の注意」が書いてある。
以下、注意書き。
- 開缶する時は家の外で行うこと
- 開缶前の缶はあらかじめ冷凍庫の中に入れてガス圧を下げておくこと
- 開缶する人は着ている服の上に大きなビニール袋のようなものをまとうこと
- 開缶する時、風下に人がいないか確認すること(1社のみ記述)