日本初のラジオドラマ『炭鉱の中』は生放送であったため、数多くの伝説が生まれた。
放送が行われたのは、大正14年8月13日。
役者たちは、舞台衣装をしっかりと着込んでから放送にのぞんだ。
マイクは一つしかなかったため、役者たちは入れ替わりでマイクの前に立ち、マイクに近づいたり、離れたりしながら音の強弱をつけた。
エコーが必要なシーンでは、太鼓に向かって声を出し、エコーの効果を出した。
炭鉱内で出水があったシーンでは、たらいに張った水をストロー(のようなもの)で吹きまくり、みんなで酸欠状態になっていた。
炭鉱が舞台のドラマだったため、アナウンサーが「このドラマは炭坑の中が舞台ですので、お聞きの方は電灯を消して下さい」と言ったところ、街じゅうの明かりがさっと消えた。