日本人も昔は犬を食べていた。
縄文時代の遺跡からは、犬の骨が数多く出土しているし、鎌倉・室町時代の遺跡(広島県草戸千軒町遺跡)からは、犬の骨の破片が307組、出土している。
また、13世紀のごみ捨て穴からは、異なった組みの犬の骨が出土しており、自宅で一頭を殺したというよりは、まとめて売りに出されていたものを購入してきて食べていた可能性が高いと言われている。
宣教師のルイス・フロイスは、日本人は犬をさかんに食用にすると記述しているし、『料理物語』(1643年)にも獣肉類の項目に「ゐぬ」が出てきており、「大きな貝の殻を鍋代わりにして煮るか、または焼いて食べる」と書いてある。
また同時期に出版された『雍州府志』(1682〜1686年)によると、京都の一条堀川では、冬になると、鹿屋(ししや。肉屋のこと)が出てきて家狼(犬)を売っていた、という記述がある。
犬食が消えた理由には、いろいろな説があり、
- 徳川綱吉の「生頼憐みの令」がきっかけになったという説
- 人にとって有益で身近な動物であるため、食べることを控えたという説
- 仏の教えの一つである 「殺生禁断」が浸透したという説
など、様々である。