サケは産卵のために自分が生まれた川に戻ってくるが、サケは嗅覚で自分の故郷を探し出している。
カナダの魚類研究科クレーギーは、産卵のために河口近くに帰ってきたサケを捕まえて、200キロほど離れた場所に放流した。
クレーギーは放流する前に、サケの群れを2つに分け、ひとつはそのまま、もうひとつは嗅覚神経を切断しておいた。
すると嗅覚神経を失ったサケは、故郷の川に戻ることが困難になった。
アメリカのハスラーとウィスビーも同じような実験を行っており、一部のサケの鼻をふさぎ、川から離れた場所へ放流すると、鼻をふさがれた方のサケは、故郷の川への帰還が困難となった。
日本の上田一夫と梶真寿は、川から抽出したエキスをサケに嗅がしてみた。
すると、故郷の川のエキスを嗅いだサケは良好な反応を示したという。
そのため、サケは嗅覚を使って自分が生まれた川に戻ると考えられている。
しかし、川の中のどのような成分がサケの記憶に影響を及ぼすのかは、まだわかっていない。