【食物】くさやの漬け汁は、350年以上、継ぎ足してきたものである
くさやの漬け汁は、350年以上、継ぎ足してきたものである。
くさやとは、ムロアジやトビウオなどを、発酵した海水に潰け込んでから日干しにしたものである(伊豆諸島の名産)。
江戸時代には海水を利用して、上質の塩干し魚をつくっていた。
しかし、この地域では、塩を年貢として納めていたため、幕府の取り立てが厳しく、干物づくりに使える塩汁の量は限られていた。
そこで苦肉の策として、魚を清け込み、残った塩汁を何回も継り返し使っていたところ、塩汁が発酵して異様なにおいを放つようになった。
しかし、この塩汁、においは強烈だが、なめてみると捨てがたいうまみがあった。
そこで、ためしに、これに漬け込んだ魚を江戸へ送ってみたところ、食通の間で珍重されるようになった。
大層くさいので「くさや」という名称がついた。