ロシアに侵攻したナポレオン軍は、冬将軍に負けたことになっているが、そのような事実はない。
1812年9月7日、モスクワ近郊のボロジノで大会戦があり、ロシア軍は市民とともにモスクワよりさらに奥地に撤退した。
ナポレオン軍は無人のモスクワへ入ったが、直後に火災が発生し、市の4分の3が焼け落ちた(9月20日)。
火災が起きた理由は、ナポレオン軍の火の不始末によるとされている。
ナポレオンは、ロシア皇帝の和睦を期待していたため、フランス軍は現地に5週間も滞在することとなり、食料はどんどんと不足していき、士気も低下していった。
そして、10月19日にようやく退却を開始したが、食糧不足、疫病の発生などから、軍規は極端に乱れており、さらにはロシア軍の追撃も重なったことから、兵士は次々と倒れていった。
当時、10月のモスクワの平均気温は3.6℃。
そのため、ナポレオン軍は冬将軍に負けたわけではなくて、兵站(補給)の失敗など、長征しすぎたのが敗因だとされている
ちなみに、この年の初雪は、11月6日だった。