江戸時代、年賀の挨拶には扇を贈っていた。
年賀用の扇は、たいていは大量生産による安物であった。
それでも年賀贈答用であったため桐箱に入れられており、扇売り商人は、桐箱に入った扇を売り歩いていた。
医師や商人などは、商売が繁盛しているように見せかけるために、もらった扇箱を家の入り口に高く積んで置いておいた。
元日を過ぎると、配られた扇箱を買い取る業者もやってきた。
扇箱買い商人は、不用な扇箱を買い取り、別の人間に売るか、次の正月の贈答用にした。
他にも正月には、良い初夢を見るための絵を売る商人(宝船の絵売り)や、絵馬を売って歩く者もいた。